「具体と抽象」を読んだ人の感想や、本の要約について知りたい。
本を読んだあとにやるべきことや、抽象化思考を高める方法についても教えてほしい。
こんな疑問にお答えします。
- 「具体と抽象」の基本情報、読んだ感想
- 本の内容を3ポイントで要約
- 抽象化思考を高める方法
どうも、なすびと申します。
抽象化思考について書籍で学ぼうと思ったときに、必ず選択肢に入ってくるのが、今回紹介する「具体と抽象」です。
この記事では、その内容の要約や抽象化思考を高める方法についてまとめました。
文字数とページ数が少なく、かわいい絵の4コマ漫画が挿入されているので、一見簡単そう見えましたが、頭をひねりながら読まないと理解ができない。
そんな「簡単なようで難しい」1冊でした。
購入するか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
「具体と抽象」の基本情報
まずは本書の基本情報と概要についてまとめました。
基本情報
著者:細谷功
書名:具体と抽象
出版月:2014年12月
出版社:dZERO(インプレス)
定価:1,800円+税
この本は、世の中の「わかりやすい」に対して、具体と抽象の関係性を示しながら考えていく内容となっています。
すべての人間が「物事を抽象化して考える思考」を持っているというわけではないので、まずはその仕組みや概念から理解していこう、というのが本書のテーマ。
著者:細谷功の経歴
1964年神奈川生まれ→東京大学工学部→東芝→米仏日系コンサルティング会社→ビジネスコンサルタント、著述家
現在はビジネスコンサルタントのみならず、問題解決や思考に関する公園やセミナーを国内外の企業や各種団体、大学などに対して実施しています。
主な著書は「地頭力を鍛える」、「いま、すぐはじめる地頭力」など。
抽象的=わかりにくい?
世の中は常に、「わかりやすい」方向に流れていきます。
その「わかりやすさ」の象徴が「具体性」なので、
- 本
- テレビ番組
- 講演
- ネットの記事
上記のような場面のすべてにおいて、「具体的でわかりやすい」表現が求められるのが現状。
「わかりやすい」とは、多数派に支持されることを意味しているんです。
そんな「抽象的な表現」が多数の人間に嫌われる中で、本当の意味での「わかりやすさ」を追求するのがこの本。
ぼくたちに抽象化思考の重要性を再認識させてくれるとともに、「抽象度」という、世の中をとらえる「共通の物差し」を与えてくれます。
「具体と抽象」の想定読者
- 抽象化の思考力を高めて、発想力や理解力を向上させたい人
- 周囲の「具体レベルにのみ生きている人」とのコミュニケーションギャップに悩んでいる人
本書では上記のような人を対象として、抽象の世界のメカニズムや、具体と抽象の関係性が明確に解説されています。
「抽象の世界」は「具体の世界」と違って、見えている人にしか見えない。
そんな抽象的な概念を、「具体」との対比で、「わかりやすく」解説するのが本書の目的です。
あなたも「具体の世界」を抜け出して「抽象の世界」を見られるように、抽象化思考を高めましょう。
「具体と抽象」の要約
今回ぼくは自分なりのメモを使って、本書の内容を要約してみました。
その要約ポイントが以下の3つ。
- 「具体」と「抽象」は相対的なもの
- 「下」から「上」は見えない
- 抽象化=単純化
それぞれ順番に解説していきます。
要約①:「具体」と「抽象」は相対的なもの
まず、何が具体で何が抽象かというのが絶対的なものではなく、お互いの関係性によって決まるということを認識しておかなければなりません。
つまり、「具体と抽象」という言葉自体が「相対的な関係性」を示す概念であって、絶対的な具体性や絶対的な抽象性があるわけではないんです。
「おにぎり」は具体か抽象か
「おにぎり」が具体的な表現なのか、抽象的な表現なのか考えてみます。
おにぎりには、
- 鮭のおにぎり
- おかかのおにぎり
- 明太子のおにぎり
といった個別の種類が存在するので、個別のおにぎりをまとめて抽象化したものが「おにぎり」だといえます。
一方でおにぎりというのは、世の中に存在する「食べ物」のうちの1つにすぎません。
その点から考えると、食べ物を具体化したのが「おにぎり」であるともいえます。
この例を図で表すと以下のような感じ。
といった感じで、「おにぎり」という言葉1つをとっても、それ自体が抽象的なのかどうかはわかりません。
具体と抽象は絶対的なものではなく、あくまでもそれぞれの「関係性」や「構造」によってレベルが変わる、相対的なものなんです。
そして、この目に見えない「関係性」を言語化して理解するのが抽象化思考であり、上記のような図解はその手段の1つというわけです。
要約②:「下」から「上」は見えない
具体と抽象の世界は、マジックミラーで隔てられているようなもの。
ピラミッドでいうと、上(抽象側)の世界が見えている人には下(具体側)の世界は見えますが、具体レベルしか見えない人には上(抽象側)は見えないということです。
関係性は目に見えない
先ほどお話したとおり、具体と抽象の「関係性」は直接目に見えません。
となると、この関係性を可視化するには抽象化思考が必要になってきます。
しかし実際に、抽象化思考ができる人は少数派(「具体=わかりやすい」と考えるのが多数派)なので、多くの人には上の世界が見えないんですね。
ぼくにもまだ見えていない世界がたくさんありそうです。
抽象化思考を鍛えれば、見えるようになるんだよね。
要約③:抽象化=単純化
「人間は考える葦である」の言葉を残した数学者である哲学者であったパスカルは、友人に出した手紙の最後に、「今日は時間がなかったために、このように長い手紙になってしまったことをお許しください」と書きました。
これは「具体の世界のみ」に生きる人には理解できない言葉ではないでしょうか。
抽象化の世界では、どこまで「単純化」することができるかがすべてなんです。
端的に表現すれば、
- 具体の世界:複雑で分厚い本に価値がある
- 抽象の世界:シンプルに研ぎすまされた1枚の図に価値がある
といった感じ。
抽象の世界では、複雑な対象をシンプルにまとめて表現する。
そしてそのシンプルな表現が、より広い範囲で適用されることを良しとしています。
「一を聞いて十を知る」ことができる法則よりは「一を聞いて百を知る」法則のほうが、よりよい法則だということですね。
抽象化思考を高める3つの方法
ここまで「具体と抽象」の要約をしてきましたが、少し抽象的で完璧に理解できなかったかもしれません。
そこでここからは、抽象の世界が見えるようになるための「抽象化思考」を、いかにして高めるかという点についてお話していきます。
抽象化思考を高める3つの方法は以下のとおり。
- 「階層」を考えて目標をたてる
- 抽象概念の存在をイメージする
- 「たとえ話」で訓練する
それぞれ順番に解説していきます。
「階層」を考えて目標をたてる
上の図のような「階層」を考えて目標を設定すると、具体と抽象のバランスがとれます。
わかりやすくするために、ここで1つ例を見てみましょう。
「つながった目標」をたてる
大学生に「あなたの目標は何ですか?」と聞いたら、以下のような答えが返ってきたとします。
- 世界中の人々を幸せにしたい
- 日本の子供に勉強の喜びを教えたい
- 理科の学習用のスマホアプリを作りたい
- プログラミングの教室に毎週火曜日、半年間通って資格を取りたい
これらを「志が高い」と思える順番と、「実行可能性が高い」と思える順番に並べてみましょう。
すると、
志が高い:①→②→③→④
実行可能性が高い:④→③→②→①
となるはず。
この順番は、抽象度の違いによって決まるといえます。
最も理想的なのは、具体レベルと抽象レベルを階層化させ、「つながった目標」になっていることです。
たとえば、先の①②③④をすべて関連付けて、「自分は将来、世界中の人々を幸せにするために貢献したい。
それを実現する分野としては教育を選んで、まずは日本の子供に勉強の喜びを教えていきたい。
その具体的な成果を目に見える形にするための手段として、料理のスマホアプリをつくりたい。
そのために、来週からプログラミングの教室に毎週火曜日に通って、資格を半年間で取ることから始めていきたい」といった具合です。
具体と抽象のいずれか一方だけでは不完全な目標設定となり、計画および行動に移れません。
なのでまずは、目標を階層ごとに切り分けて「つながった目標」をたてるところから始めてみましょう。
抽象概念の存在をイメージする
抽象化思考を高めるために重要なのは、わからないことを切り捨てるのではなく、理解できるように努力することです。
日常生活で「この人はわけのわからないことを言っている」と思う場面があったら、
- もしかしたら、自分には見えていない抽象概念の話をしているのではないか
- 表面的なことではなく、そこからつながっている本質的なことを語っているのではないか
と考えてみましょう。
抽象度の高い概念は、見える人にしか見えません。
もちろん今すぐに「見える人」になれれば困らないけど、それは現実的じゃないもんね。
となると、「自分の見えていない世界が存在している」というイメージを持つだけでも、十分な成長といえます。
少しずつ抽象化思考を高めて、「見える人」になることを最終目標としましょう。
「たとえ話」で訓練する
具体と抽象には相対的な関係性があるので、必ずどこかでつながっています。
具体と抽象の主な関係性
具体 | 抽象 |
---|---|
直接目に見える | 直接目に見えない |
「実体」と直結 | 「実体」とは一見乖離 |
1つ1つ個別対応 | 分類してまとめて対応 |
解釈の自由度が低い | 解釈の自由度が高い |
応用が利かない | 応用が利く |
「実務家」の世界 | 「学者」の世界 |
上記のような具体と抽象それぞれの特徴を踏まえて、
- 具体→抽象
- 抽象→具体
という翻訳作業をしてみてください。
ぼくたち人間は「たとえ話」をするとき、説明したい新しい概念や事例を、身近な事例で似ているものを使って説明します。
その過程で自然と行なっているのが「具体→抽象→具体」という翻訳作業。
たとえ話のうまい人はこの翻訳能力が優れていて、具体と抽象の関係性や距離感をつかむのが得意です。
「翻訳能力の高さ=抽象化思考の高さ」を意味するので、抽象化思考を高めるには「たとえ話」による訓練が有効だということですね。
ぼくはこれから「たとえ話」に磨きをかけていくと決めました。
友だちとの会話で「たとえツッコミ」してみるのもいいよね。
まとめ:世界を抽象化して見てみよう
ということで今回は、細谷功さんの「具体と抽象」の要約と、抽象化思考を高める方法についてお話してきました。
最後にもう1度まとめておきます。
【「具体と抽象」の要約】
- 「具体」と「抽象」は相対的なもの
- 「下」から「上」は見えない
- 抽象化=単純化
【抽象化思考を高める方法】
- 「階層」を考えて目標をたてる
- 抽象概念の存在をイメージする
- 「たとえ話」で訓練する
抽象化には「言葉」が必要
抽象化思考が高まると、今まで見えていなかった世界や概念が見えるようになります。
しかしそれは、見聞きした事象を自分の言葉で表現できてこそ実現できるもの。
つまり抽象化には言葉が必要なわけです。
なので、まずはたくさん本を読むことで、さまざまな事象を表現する言葉を仕入れてみてはいかがでしょうか。
ということで今回は以上です。それではまた!
- おすすめ就活サイトをご紹介→無料で使える就活サイトおすすめランキング
- 実際にブログを運営してみたい→初心者でもできる、ブログ運営の始め方
- 月額980円で本が読み放題!→Kindle Unlimitedのサービスがお得すぎる
- スキマ時間で稼ごう!→大学院生におすすめのバイト6選
コメント